比較広告とは?景品表示法の3つの要件と問題になる例、No.1表示の注意点を解説
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自社の商品が他社より優れている点を、広告ではっきり伝えたいと考えることはないでしょうか。
他社と並べて比べる広告は、選ぶ人にとって分かりやすい反面、比べ方を誤ると景品表示法の不当表示にあたるおそれがあります。広告やアフィリエイトを担当している方は、下記のような悩みを抱えていることも多いでしょう。
- 他社の名前を出して比べる広告を出してよいのか分からない
- 「業界No.1」「最安」と書きたいが、どこまでの根拠が必要か知りたい
- アフィリエイトの比較記事やランキング記事で、広告主として何を確かめればよいか迷う
比較広告のルールは、消費者庁が「比較広告に関する景品表示法上の考え方」という指針で示しています。読めば答えは書いてあるはずです。ただ、原文は法律の言葉で書かれているため、実際の広告にどう当てはめればよいかが分かりにくいのが難しいところです。
本記事では、比較広告の意味と景品表示法との関係、適正な比較広告の3つの要件、問題になる例、No.1表示の注意点、広告媒体の基準、アフィリエイトの比較記事で広告主が確かめることを解説していますので、ぜひお役立てください。
この記事でわかること
- 比較広告そのものは景品表示法で禁止されていないが、誤認させる比較は不当表示になるおそれがある
- 適正な比較広告には、客観的な実証・正確な引用・公正な比較方法の3つの要件をすべて満たす
- 「顧客満足度No.1」などのNo.1表示は、比較対象・調査対象者・調査方法・表示との対応の4点で根拠を確かめる
- アフィリエイトの比較記事も、広告主の表示として扱われることがある

比較広告は他社の商品と比べて自社の良さを示す広告
比較広告とは、自社の商品やサービスを、競争関係にある他社の商品やサービスと比べて、その良さを示す広告のことです。
消費者庁の指針では、比較広告を次のように定めています。
比較広告とは、自己の供給する商品又は役務(以下「商品等」という。)について、これと競争関係にある特定の商品等を比較対象商品等として示し(暗示的に示す場合を含む。)、商品等の内容又は取引条件に関して、客観的に測定又は評価することによって比較する広告をいう。
見落としやすいのは、「暗示的に示す場合を含む」の一言です。他社の名前をはっきり出す広告だけが比較広告なのではなく、例えば以下のような表示もこれにあたります。
- 「A社のカードより年会費が安い」のように、他社の名前を出して比べる
- 「大手3社の中で金利が最も低い」のように、比べる相手が分かる形で示す
- 他社の名前を出さなくても、誰と比べているかが読み手に伝わる形で比べる
では、相手をまったく示さない「業界最安」「No.1」なら安全かというと、そうではありません。特定の相手を示さずに優位性をうたう表示も、実際の商品や他社の商品より著しく良いと誤認させれば、景品表示法の問題になります。相手を名指しするかどうかにかかわらず、比べて良さを示す表示には根拠を用意しておきましょう。
比較広告は景品表示法で禁止されていないが不当表示になるおそれがある
比較広告そのものは、景品表示法で禁止されていません。
問題になるのは、比べた結果として、実際や他社のものより著しく良い、または得であると一般消費者に誤認させる場合です。比べること自体と、誤認させることを分けて考える、という立場を消費者庁は次のように示しています。
景品表示法第5条は、自己の供給する商品・サービスの内容や取引条件について、競争事業者のものよりも、著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認される表示などを不当表示として規制していますが、競争事業者の商品・サービスとの比較そのものについて禁止し、制限するものではありません。
引用:比較広告|消費者庁
比較広告でかかわる不当表示は、主に優良誤認と有利誤認の2つです。何を比べているかで、2つは下記のように分かれます。
| 不当表示 | 比べる内容 | 比較広告での例 |
|---|---|---|
| 優良誤認 | 品質や規格などの内容 | 根拠なく「他社より審査が早い」とうたう |
| 有利誤認 | 価格や取引条件 | 自社に不利な条件を外して「他社より安い」と比べる |
優良誤認と有利誤認は、比べている内容が品質か、価格や条件かで見分けます。
比較広告が不当表示にならないための要件は3つある
比較広告が不当表示にならないためには、消費者庁の指針に示された3つの要件をすべて満たす必要があります。
指針に書かれている3つの要件は、次の短い文です。
① 比較広告で主張する内容が客観的に実証されていること
② 実証されている数値や事実を正確かつ適正に引用すること
③ 比較の方法が公正であること
文は短くても、それぞれの要件には中身があり、消費者庁のWebページでも短くまとめられています。要件ごとの中身を図にすると、下のようになります。

1つでも欠けると、残りの2つを満たしていても不当表示となるおそれがあります。それぞれ詳しく解説します。
主張する内容を客観的に実証する
「他社より早い」と書くなら、早いことを客観的に実証できていなければなりません。
実証が必要な範囲は、広告で主張している範囲そのものです。どう実証すればよいかについて、消費者庁の解説は以下の考え方を示しています。
- 確立された方法がある場合はその方法で、ない場合は社会通念上妥当と考えられる方法などで実証する
- 主張する事実が存在すると認識できる程度まで、実証を行う
- 広告主と関係のない第三者が行った調査は、客観的なものと考えられる
例えば「某市で調べた結果、A商品よりB商品のほうが優れていた」と広告するなら、その市で実際に調査が行われ、主張どおりの結果が出ていることが必要だと指針は示しています。逆に言えば、1つの市で調べた結果から「全国で優れている」とまでは言えません。広告クリエイティブの文言を決める前に、主張と根拠の範囲がそろっているかを確かめましょう。
実証された数値や事実を正確に引用する
正しい調査でも、引用の仕方を誤れば誤認を招くため、結果はその範囲と趣旨に沿って正確に引用する必要があります。
調査の一部だけを切り出したり、調査で分かったこと以上を言ったりするのが、よくある誤りです。引用するときは、下記の3点を見直してください。
- 実証されている事実の範囲を超えて言い切っていないか
- 調査の一部を引用する場合、調査の趣旨に沿っているか
- 調査機関、調査時点、調査場所などの調査方法のデータを広告に示しているか
3つめの調査方法のデータについては、消費者庁も考え方を示しています。調査結果を引用して比べる場合は、一般消費者が結果を正しく認識できるよう、調査方法に関するデータを広告の中に示すことが適当としています。「※2026年○月 ○○調べ」のような注記を、比べている文言の近くに置いておくと安心です。
比較の方法を公正にする
数字が事実どおりでも、比べる項目や相手の選び方が偏っていれば、比較広告は公正とはいえません。
比べ方が偏っていると、商品全体が優れているかのような誤認を招くからです。消費者庁の解説では、次のような比べ方が不当表示となるおそれがあるとされています。
- 全体の機能や効用にあまり影響しない一部の項目で比べ、全体が優れているかのように強調する
- 社会通念上、同等と認識されていないものと比べ、同等のものとの比較であるかのように示す
- 主張する長所と切り離せない短所を、表示しない、または分かりやすく表示しない
金融の商品でいえば、金利の低さだけを比べて、手数料や適用される条件の違いに触れないような比べ方が当てはまりやすいところです。比べる項目は、選ぶ人が実際に気にする点を中心にそろえるのが向いています。
比較広告で問題になる例は根拠のない比較など3つある
比較広告で問題になりやすいのは、根拠のない比較、条件をそろえない比較、相手を中傷する比較の3つです。
消費者庁は、問題となる比較広告の具体例を公表しています。業種はばらばらですが、要約して並べると以下の表のようになります。
| 業種 | 広告の内容 | 問題になった点 |
|---|---|---|
| パソコンメーカー | 「この技術は日本で当社だけ」と表示 | 実際は他社も同じ技術の製品を販売していた |
| 予備校 | 「大学合格実績No.1」と表示 | 他校と異なる方法で数値化しており、適正な比較ではなかった |
| 携帯電話通信業者 | 料金比較で自社が最も安いように表示 | 自社に不利となる割引サービスを除外して比べていた |
| 酒類量販店 | 「この辺で一番安い店」と表示 | 周辺の店の価格を調べておらず、根拠がなかった |
どの例も、「一番」「当社だけ」と言い切る根拠が不足しているか、比べる条件がそろっていない点が共通しています。酒類量販店の例のように、周りの価格を調べないまま「一番安い」と書くのは、どの業種でも起こりうる誤りです。自社の広告で同じような言い方をしていないか、根拠の資料とあわせて見直しましょう。
相手を中傷する比較も不当表示になるおそれがある
書いた欠点が事実であっても、他社の商品の欠点をことさらに取り上げる比較広告は、不当表示となるおそれがあります。
指針は、中傷やひぼうにあたる比較広告について、事実に反するものだけでなく、事実に基づくものでも問題になる場合があるとして、次のように示しています。
また、事実に基づくものであっても、信用失墜、人身攻撃にわたるもの等で、広告全体の趣旨からみて、あたかも比較対象商品等が実際のものより著しく劣っているかのような印象を一般消費者に与えるような場合にも、不当表示となるおそれがある。
指針では、場合によっては刑法などほかの法律で問題となることや、倫理や品位にかかわる問題を起こすこともあるとして、注意を促しています。比較広告は相手を下げる道具ではなく、選ぶ人に具体的な情報を届けるためのものです。
比較広告のNo.1表示は合理的な根拠がなければ不当表示になる
「顧客満足度No.1」のようなNo.1表示は、合理的な根拠に基づいていなければ不当表示となります。
消費者庁は2024年9月に「No.1表示に関する実態調査報告書」を公表し、No.1表示についての景品表示法上の考え方を示しました。どこからが問題になるのかは、報告書の公表の資料に次のように書かれています。
「顧客満足度 No.1」などのいわゆる No.1 表示等は、その表示が合理的な根拠に基づかず、事実と異なる場合には、実際のもの又は競争事業者のものよりも著しく優良又は有利であると一般消費者に誤認され、不当表示として景品表示法上問題となります。
同じ調査の概要の資料では、令和5年度の措置命令44事業者のうち13事業者がNo.1表示に関するもので、いずれもイメージ調査を根拠にしていたとしています。44事業者のうち13事業者という数字を見れば、No.1表示が比較広告の中でも特に指摘を受けやすい表示だと分かります。
根拠と認められるには4点を満たす
比べる相手、聞く相手、聞き方、表示との対応の4点がそろってはじめて、No.1表示の根拠となる調査と認められます。

特に、実際に使った人に聞いていないのに「顧客満足度No.1」と表示するのは、問題になる例として挙げられています。4点それぞれについて、問題になる例を要約すると下記の表になります。
| 満たす点 | 問題になる例の要約 |
|---|---|
| 比較対象となる商品やサービスが適切に選ばれている | 市場の主要な商品やサービスの一部または全部が比べる相手に入っていない |
| 調査対象者が適切に選ばれている | 「顧客満足度No.1」なのに、サイトを見せて印象を聞くだけのイメージ調査しかしていない |
| 調査が公平な方法で行われている | 自社の商品を選択肢の最上位に固定する、No.1になった時点で調査を終える |
| 表示内容と調査結果が適切に対応している | 調べた内容と、広告でうたう内容がずれている |
では、「イメージ調査による」と注記すれば済むのでしょうか。報告書の概要では、注記していても、「顧客満足度No.1」という表示と調査結果が対応していないことに変わりはないとされています。注記を付ければよいと考えず、表示そのものが調査の中身と合っているかを確かめましょう。
調査の中身は広告主が自分で確かめる
調査会社に頼んだ調査でも、根拠として使う以上、中身を確かめるのは広告主の仕事です。
報告書の概要では、聞き取りをした広告主の多くが、根拠としている調査の質問項目や比べる相手を把握していなかったとされています。調査の報告書を受け取ったら、少なくとも次の4つは目を通しておきます。
- アンケートの質問の文言と、選択肢の並び方
- 比べる相手に、どの会社のどの商品が含まれているか
- 誰に、いつ、何人に聞いた調査か
- 広告でうたう言葉が、調査で聞いたことと一致しているか
報告書の概要では、一般消費者が根拠を確かめられるよう、表示物に調査方法の概要を載せることや、QRコードで確認できるようにすることが望ましいとしています。調査会社から勧められたからといって、中身を見ないまま表示に使うのは避けてください。
比較広告は広告媒体の掲載基準も確かめる
比較広告を出すときは、景品表示法だけでなく、広告を出す媒体の掲載基準も確かめましょう。
多くの広告媒体は、法律とは別に独自の掲載基準を設けており、基準に合わない広告は掲載できないことがあるためです。こうした媒体の自主規制については、比較広告の指針も次のように触れています。
また、広告を取り扱うマスメディアにおいて、比較広告に関する適正な自主規制が個々に行われることも重要である。
例えば、LINEヤフー広告は広告掲載基準の中で、比較広告や最上級表示、No.1表示についての項目を設けています。景品表示法の上では問題のない表現でも、媒体の基準で止められることはありえます。基準は改定されることもあるため、出稿する前に、使う媒体の最新の内容を確かめておくと手戻りを防げます。
比較広告をアフィリエイトで出すときは広告主が記事の表示を確かめる
アフィリエイトの比較記事やランキング記事も、広告主の表示として扱われることがあるため、広告主が表示の中身を確かめましょう。
記事を書くのはメディアですが、広告主が表示の内容の決定にかかわっていれば、景品表示法の上では広告主の表示と扱われることがあります。比較記事はアフィリエイトでよく使われる形なので、比較広告のルールがそのまま当てはまる場面が多くなります。ランキング記事も、順位を付けて並べている以上、比べて良さを示す表示であることに変わりはありません。

アフィリエイトの記事には、広告であることを隠す表示を規制するステマ規制もかかわるため、あわせて確かめておく必要があります。
比較記事でよく見る表現を根拠と照らし合わせる
「おすすめランキング1位」「業界最安」のような比較記事の定番の表現ほど、その根拠が広告主の手元にあるかを確かめておきたいところです。
メディアが独自に調べて書いた「No.1」や「最安」でも、広告主の商品を紹介する記事である以上、放っておくと問題になることがあります。表現ごとに確かめることの例を、以下の表に並べました。
| 記事でよく見る表現 | 確かめることの例 |
|---|---|
| 「おすすめランキング1位」 | 順位の決め方と、広告の報酬で順位を決めていないか |
| 「業界最安」「最低金利」 | 比べた相手の範囲、比べた時点、適用される条件 |
| 「利用者満足度No.1」 | 調査の対象者が実際の利用者か、調査の時点と実施した会社 |
| 「他社より審査が早い」 | 比べた方法と、その結果を示す資料があるか |
根拠が確かめられない表現は、条件や出典を添えた言い方に直すか、使わないようにメディアに伝えましょう。なお、金融の商品では、景品表示法に加えて、貸金業法や金融商品取引法などの業法の表示のルールにも気をつけてください。
掲載の前と後に確かめる仕組みを持つ
掲載した日に正しかった比較記事も、翌月には正しくなくなっていることがあり、確かめるのは掲載の前だけでは足りません。
金利や手数料、キャンペーンの条件が変わると、比べた結果そのものが変わってしまうからです。仕組みとしては、例えば次の3段階で確かめます。
- 記事の掲載の前に、比べる相手と項目、言葉の根拠を確かめる
- 商品の条件を改定したら、掲載中の記事を洗い出して修正を依頼する
- 根拠としている調査の時点を定期的に見直し、古くなった表示を直す
ASPを使う場合は、掲載URLの確認や修正の依頼をASPを通して進められることがあります。一度きりの点検で終わらせず、アフィリエイトの運用の中で定期的な作業として組み込むのが近道です。
比較記事やランキング記事を含むアフィリエイト広告を、表示のルールに沿って進めたい場合は、広告主向けの資料をご覧ください。比べる項目や根拠の確かめ方など、具体的な進め方の相談はお問い合わせから承っています。
比較広告に関するよくある質問
ここでは、比較広告に関するよくある質問に回答します。比較広告を出す際や、アフィリエイトの記事を確かめる際の参考にしてください。
比較広告の要件を満たさないとどうなりますか?
不当表示と判断されると、消費者庁から措置命令を受けるおそれがあります。
優良誤認や有利誤認にあたる場合は、課徴金の対象になることもあります。
自社で行った調査を比較広告の根拠にできますか?
根拠にできる場合もあります。
指針は、広告主と関係のない第三者の調査は客観的なものと考えられるとしていますが、自社の調査を一律に認めないとはしていません。自社で調べる場合は、確立された方法か、社会通念上妥当と考えられる方法で調べ、方法と結果を記録しておきましょう。
比較広告のガイドラインは、いつ誰が定めたものですか?
昭和62年4月21日に、公正取引委員会事務局が定めた指針です。
名前は「比較広告に関する景品表示法上の考え方」といいます。景品表示法が2009年9月に消費者庁へ移ってからは消費者庁が受け継ぎ、平成28年4月1日には消費者庁が改正しています。
比較広告の要件を満たしているか、どこかに相談できますか?
景品表示法の相談を受け付けている窓口で相談できます。
主な相談先は、下記の3つです。
- 消費者庁の景品表示法の相談窓口
- 都道府県の景品表示法の担当の窓口
- 公正競争規約がある業界では、その規約を運用する公正取引協議会
相談するときは、広告の案と、比べた相手や調査の資料をそろえて持っていくと、話が早く進みます。
