STP分析とは?3つの要素の意味とやり方、例と注意点を解説
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広告やページを作る前に、「そもそも誰に売るのか」で社内の意見が分かれたことはないでしょうか。
誰にでも売れる商品を目指すと、伝える内容がぼやけ、結局どの人にも響かないことがあります。そうした場面で、下記のような悩みを抱える方も多いでしょう。
- 狙う相手を決めたつもりでも、広告の文言が「誰にでも当てはまる」ものになってしまう
- 市場の分け方が年代と性別だけで、施策に生かせる違いが見えない
- 競合との違いを聞かれても、はっきり答えられない
STP分析は、市場をいくつかのまとまりに分け、その中から狙う相手を選び、競合と比べた自社の立ち位置を決める考え方です。3つの手順を順に進めると、誰に、何を、どう伝えるかが決まります。「誰に売るのか」で意見が分かれたときも、どのまとまりを狙うのかという同じ土俵で話し合えるため、広告やページの中身までそろえやすくなります。
本記事では、STP分析の意味、3つの要素、それぞれのやり方、進め方、例、注意点を解説していますので、ぜひお役立てください。
この記事でわかること
- STP分析は、市場を分け、狙う相手を選び、立ち位置を決める3つの手順で、誰に何を売るかを決める方法
- 市場は地域、人の属性、考え方、行動の4つの軸で分ける
- 狙う相手は、市場の大きさ、伸び、競合、届けやすさなどで選ぶ
- 立ち位置は、顧客が選ぶときの基準を2つの軸にしたマップで決める

STP分析は市場を分けて狙う相手と立ち位置を決める方法
STP分析とは、セグメンテーション(Segmentation)、ターゲティング(Targeting)、ポジショニング(Positioning)の3つの手順で、誰に何を売るかを決める方法です。

3つの手順の頭文字を取って、STP分析と呼ばれます。マーケティング学者のフィリップ・コトラー氏が広めた考え方として知られ、商品の企画から広告の計画まで幅広く使われます。
要素ごとの意味と、決まることを下記の表にまとめました。
| 要素 | 意味 | 決まること |
|---|---|---|
| セグメンテーション | 市場を、似たニーズを持つまとまりに分ける | 市場にどんな顧客のまとまりがあるか |
| ターゲティング | 分けたまとまりの中から、狙う相手を選ぶ | 誰に売るか |
| ポジショニング | 狙う相手から見た、競合との違いを決める | 何を強みとして伝えるか |
STP分析の前には、顧客、競合、自社の3つの視点から市場を見る3C分析で、現状を整理しておくと進めやすくなります。3C分析で見つけた自社の勝ち筋をもとに、STP分析で狙う相手と伝え方を決めていく、という順番です。
STP分析をする目的は選ばれる理由をはっきりさせること
STP分析をする目的は、限られた予算と人手を、自社が選ばれやすい相手に集めることです。
すべての人に向けた商品や広告は、誰にとっても「自分向けではない」ものになりやすいためです。目的を分けると、次の3つになります。
- 予算と人手を、勝てる相手に集める
- 競合と比べたときの、自社が選ばれる理由をはっきりさせる
- 広告、ページ、営業で伝える内容を、同じ相手と同じ強みにそろえる
狙う相手を絞ることは、それ以外の人を捨てることのように感じられるかもしれません。しかし、相手を絞った広告のほうが言葉が具体的になり、結果として周りの人にも届くことがあります。Web集客の方法を選ぶ前に狙う相手を決めておくと、どこに予算を使うかも迷わずに済みます。
STP分析のセグメンテーションは4つの軸で市場を分ける
STP分析のセグメンテーションでは、地域、人の属性、考え方、行動の4つの軸を組み合わせて市場を分けましょう。
同じ商品でも、年代や住む地域だけでなく、何を大事にしているか、どのくらい検討が進んでいるかで、求めることが変わるためです。同じ年代でも、節約を大事にする人と、時間を大事にする人とでは、響く言葉が違います。4つの軸と分け方の例を、以下の表に並べました。
| 軸 | 分け方の例 |
|---|---|
| 地域(地理的変数) | 住んでいる地域、都市か地方か、気候 |
| 人の属性(人口動態変数) | 年代、性別、家族の構成、仕事、収入 |
| 考え方(心理的変数) | 価値観、趣味、お金についての考え方、生活の仕方 |
| 行動(行動変数) | 買う回数、使い方、検討の進み具合、求める便利さ |
4つの軸のうち、施策にいちばん結びつけやすいのは行動の軸です。分けた後の確かめ方とあわせて、詳しく解説します。
行動の軸は検討の進み具合で分けられる
「今すぐ探している人」と「まだ気づいていない人」を分けるように、行動の軸では、商品をどのくらい検討しているかで分けると、広告やページの施策に直結しやすくなります。
今すぐ買いたい人と、まだ必要性に気づいていない人とでは、響く言葉も、見ている場所も違うためです。検討の進み具合で分けると、例えば下記の3つになります。
- 今すぐ探している人:商品の名前や種類で検索し、比べて選ぼうとしている
- 関心はあるが迷っている人:情報を集めているが、決め手がない
- まだ必要性に気づいていない人:悩みはあるが、商品で解決できると思っていない
今すぐ探している人は顕在層、まだ必要性に気づいていない人は潜在層とも呼ばれます。ただ、行動の軸だけでは、その人たちに広告でどう届けるかまでは決まりません。人の属性の軸と組み合わせて、「30代の会社員で、今すぐ探している人」のように分けると、施策に使いやすいまとまりになります。
分けたまとまりは測れて届くかで確かめる
分けたまとまりが施策に使えるかどうかは、大きさを測れるか、そして広告などで届けられるかで決まります。
どれだけ細かく分けても、その人数が分からなかったり、その人たちに届ける方法が無かったりすると、次のターゲティングで比べようがないからです。分けたまとまりは、次の4点で確かめます。
- まとまりの大きさ(人数や市場の規模)を、おおよそでも測れるか
- 広告や媒体で、そのまとまりの人に届けられるか
- まとまりの中の人は、同じような反応をしそうか
- まとまりどうしで、求めることがはっきり違うか
確かめて使えないまとまりも、別の軸と組み合わせるなどして分け直せば、施策に使える形になることがあります。
STP分析のターゲティングは6つの視点で狙う相手を選ぶ
STP分析のターゲティングでは、分けたまとまりを、市場の大きさや伸び、競合、届けやすさなどの視点で比べて、狙う相手を選びましょう。
選ぶときの視点は、6つの英語の頭文字を取って「6R」と呼ばれることがあります。どれもRで始まる、以下の6つです。
| 視点 | 確かめること |
|---|---|
| 市場の大きさ(Realistic Scale) | 売上を見込めるだけの人数や規模があるか |
| 伸び(Rate of Growth) | これから伸びそうか、縮んでいかないか |
| 競合(Rival) | 強い競合がすでに押さえていないか |
| 優先の度合い(Rank) | 自社にとって、どのくらい大事な相手か |
| 届けやすさ(Reach) | 広告や販売の経路で、その相手に届けられるか |
| 反応の測りやすさ(Response) | 施策への反応を、数字で確かめられるか |
すべての視点で満点のまとまりは、ほとんどありません。自社が特に重く見る視点を先に決めてから比べるのが現実的です。例えば、年代や関心で届ける相手を絞れるSNS広告を使うなら、届けやすさの点で選べる相手の幅は広がります。
狙い方は無差別型と差別化型と集中型の3つがある
狙う相手の数と、相手ごとに施策を変えるかどうかで、ターゲティングの狙い方は3つに分かれます。
どの狙い方が合うかは、自社の予算や人手、商品の性質によって変わります。3つを比べると、下記の表のようになります。
| 狙い方 | 考え方 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| 無差別型 | まとまりを分けず、同じ商品と伝え方で市場全体に売る | 誰もが同じように使う日用品など |
| 差別化型 | 複数のまとまりを狙い、それぞれに合わせた商品や伝え方にする | 予算と人手に余裕がある |
| 集中型 | 1つか少数のまとまりに絞り、そこで一番を目指す | 予算と人手が限られている |
予算と人手が限られているうちは、集中型で1つの相手に絞り、そこで手応えを得てから広げるのがおすすめです。人数が多いまとまりが、いちばん利益の大きい相手とは限りません。狙う相手を選ぶときは、1人の顧客から長い期間で得られる利益(LTV)の大きさも比べておくと、選び間違いを防げます。
STP分析のポジショニングは2つの軸のマップで決める
STP分析のポジショニングでは、狙う相手が商品を選ぶときの基準を2つ選び、縦と横の軸にしたマップで、競合と比べた自社の立ち位置を決めましょう。

マップに競合と自社を置くと、競合が集まっている場所と、空いている場所が見えてきます。決めることは、以下の2つです。
- 軸は、顧客が選ぶときの基準から選ぶ
- 立ち位置は、空いている場所と自社の強みが重なるところを選ぶ
それぞれ詳しく解説します。
軸は顧客が選ぶときの基準から選ぶ
「自社が言いたい強み」ではなく、狙う相手が商品を選ぶときに実際に比べている基準を、マップの軸にします。
顧客が気にしていない軸で違いを作っても、選ぶ理由にはならないからです。手がかりは、例えば次のようなところにあります。
- 問い合わせや口コミで、よく比べられている点
- 比較サイトや比較記事で、表の項目になっている点
- 既存の顧客に聞いた、選んだ理由
もう1つ、2つの軸は互いに関係の薄いものを選ぶ必要があります。「価格の安さ」と「お得さ」のように似た軸を選ぶと、マップの上で違いが見えにくくなります。
立ち位置は空いている場所と強みが重なるところを選ぶ
競合がまだいない場所を見つけても、自社の強みで本当に応えられる場所でなければ、立ち位置には選べません。
競合がいない場所は、単にそこを求める顧客がいないだけ、ということもあります。図の例でいえば、手数料が高く知識がある人向けの場所が空いていても、そこを選ぶ人はほとんどいないでしょう。決める前に、下記の3つを確かめてください。
- その場所を求める顧客が、十分な数いるか
- 自社の強みで、その場所を取り続けられるか
- 競合がすぐにまねできないか
決めた立ち位置は、「〇〇な人にとって、△△な商品」という1文にまとめましょう。この1文は、広告の文言などの広告クリエイティブや、ページの見出しを考えるときの土台になります。
STP分析のやり方は5つの手順で進める
STP分析は、現状を整理してから、市場を分け、狙う相手を選び、立ち位置を決め、施策に落とす5つの手順で進めましょう。
STP分析を3つの手順だけで終えると、決めた内容が広告やページに反映されないまま終わりやすいためです。前後に1つずつ手順を足すと、以下の5つになります。
- 3C分析などで、市場と競合と自社の現状を整理する
- セグメンテーションで、市場を4つの軸で分ける
- ターゲティングで、狙う相手を選ぶ
- ポジショニングで、競合と比べた立ち位置を決める
- 決めた相手と立ち位置を、施策に落とす
5つ目の施策に落とすときは、商品、価格、売る場所、伝え方の4つの面から考える「4P」を使うと整理しやすくなります。4Pで決めることを例で示すと、次の表の通りです。
| 4P分析の要素 | 決めることの例 |
|---|---|
| 商品(Product) | 狙う相手に合わせた機能や、始めやすい少額のコース |
| 価格(Price) | 狙う相手が払いやすい料金や、始める時の費用 |
| 売る場所(Place) | アプリ、Webサイト、店舗、紹介してくれるメディアなど |
| 伝え方(Promotion) | 広告の種類、広告の文言、ページで伝える内容 |
伝え方を決めるときは、狙う相手がよく見る場所に合わせてWeb広告の種類を選び、決めた立ち位置を広告の文言にそのまま使うのが近道です。
STP分析の例:積立投資のアプリの場合
STP分析の例として、若い会社員向けの積立投資のアプリを売る会社を考えてみましょう。
会社もアプリも、手順を分かりやすくするための架空の例です。3つの手順で決めた内容は、例えば下記のようになります。
| 手順 | 決めた内容の例 |
|---|---|
| セグメンテーション | 年代と、投資の経験と、お金についての考え方で分ける。「投資の経験があり手数料を重く見る人」「投資が初めてで損を怖がる人」など |
| ターゲティング | 「20〜30代の会社員で、投資が初めてで損を怖がる人」に絞る。人数が多く、大手の競合が十分に応えられていないため |
| ポジショニング | 「投資が初めてでも迷わず始められ、分からないことをすぐ聞けるアプリ」という立ち位置を取る |
この例では、手数料の安さで大手と競うのではなく、始めやすさと相談のしやすさで選ばれる位置を選んでいます。手数料の安さで正面から競えば、大手の競合に分があると考えたからです。そのため、広告では「少額から試せる」「すぐ質問できる」を前に出し、手数料の比較を広告の主役にはしない、という判断になります。
なお、投資の商品では、顧客の知識や経験、財産の状況に合わない勧誘をしないという考え方(適合性の原則)があります。狙う相手を初めての人に絞るときほど、商品の仕組みやリスクを分かりやすく伝えることも、金融マーケティングの計画に組み込んでおきましょう。
STP分析で失敗しやすい点は3つある
STP分析で失敗しやすいのは、分け方や選び方そのものより、決めた内容の使い方に原因があることが多いです。
失敗しやすい点を先に知っておくと、分析が資料だけで終わることを防げます。つまずきやすいのは、以下の3つです。
- 市場を細かく分けすぎる
- 狙う相手を決めても、施策を変えない
- 一度決めた内容を見直さない
それぞれ詳しく解説します。
市場を細かく分けすぎる
市場を細かく分けすぎると、1つのまとまりの人数が少なくなり、売上を見込めなくなります。
分ける軸を増やすほど、まとまりは具体的になりますが、そのぶん人数は減っていきます。分けすぎていないかは、次の3点で確かめられます。
- まとまりの人数で、目指す売上に届くか
- 広告で、そのまとまりだけに届けられるか
- まとまりどうしの違いが、施策を変えるほど大きいか
目安として、施策を変える必要がない程度の違いなら、まとまりを1つにまとめ直しましょう。
狙う相手を決めても施策を変えない
狙う相手を決めても、広告の文言やページの内容が以前と同じままでは、STP分析をした意味がありません。
特に、社内の確認を重ねるうちに「他の人にも当てはまるように」と言葉が広がり、結局誰にでも向けた文言に戻ってしまうことがあります。施策が決めた相手に合っているかは、下記の3点を見れば分かります。
- 広告の文言を読んで、狙う相手が「自分のことだ」と感じるか
- ページの最初に、狙う相手の悩みが書かれているか
- 狙う相手がよく見る場所に、広告を出しているか
狙う相手が知ってから申し込むまでの道筋をカスタマージャーニーとして描くと、どこで何を伝えるかを決めやすくなります。
一度決めた内容を見直さない
市場や競合は変わり続けるので、一度決めた狙う相手と立ち位置も、定期的に見直す必要があります。
強い競合が同じ立ち位置に入ってきたり、狙う相手が求めることが変わったりすると、選ばれる理由が弱くなるためです。どんなことが起きたら見直すのか、以下に例を挙げます。
| きっかけ | 見直すところの例 |
|---|---|
| 競合が同じ立ち位置の商品を出した | ポジショニングの軸と立ち位置 |
| 狙う相手の申込が減ってきた | ターゲティングで選んだ相手が今も合っているか |
| 新しい顧客の層から申込が増えた | セグメンテーションの分け方 |
見直すときは、施策を始めてからの申込の数や顧客の声をもとに、どの手順から直すかを決めましょう。
STP分析で決めた相手と立ち位置を、広告やページ、アフィリエイトなどの集客の施策まで一続きで組み立てたい場合は、Finfluenceのマーケティング支援でご相談を承っています。誰に売るかの整理から、その相手に届く広告の文言まで一緒に考えられますので、お問い合わせからお気軽にご相談ください。
STP分析に関するよくある質問
ここでは、STP分析に関するよくある質問に回答します。STP分析を始める際や、見直す際の参考にしてください。
ターゲットとペルソナは何が違いますか?
ターゲットは狙う顧客のまとまりで、ペルソナはそのまとまりを代表する1人の人物像です。
例を入れて比べると、下記のようになります。
| 比べる点 | ターゲット | ペルソナ |
|---|---|---|
| 指すもの | 狙う顧客のまとまり | まとまりを代表する1人の人物像 |
| 例 | 20〜30代の会社員で、投資が初めての人 | 28歳、都内で働く会社員。貯金はあるが、投資はしたことがない |
STP分析で狙う相手を決めた後に、ペルソナを作ると、広告の文言やページの内容を考えやすくなります。
STP分析は3つの手順の順番どおりに進めるべきですか?
基本はセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングの順に進めましょう。
市場を分けてからでないと狙う相手を比べられず、狙う相手が決まらないとポジショニングの軸を選べないためです。ただし、ポジショニングを考えるうちに狙う相手を見直すことはよくあるため、行き来しながら仕上げて構いません。
STP分析はBtoBの商品でも使えますか?
使えます。
会社に売るBtoBマーケティングでは、業種、会社の規模、地域、抱えている課題などの軸で市場を分けます。会社の中で使う人と決める人が違うことが多いため、狙う相手を選ぶときは、誰が決めるのかも確かめておくと安心です。
セグメントはいくつに分ければよいですか?
決まった数はありませんが、施策を変える必要があるくらい違いのあるまとまりに分けましょう。
まとまりが多すぎると比べる手間が増え、少なすぎると違いが見えません。最初は3〜5つほどに分けて比べ、必要に応じて分け直すと進めやすくなります。
STP分析はどのくらいの頻度で見直せばよいですか?
新しい商品を出すときや、競合や市場に大きな変化があったときに見直しましょう。
大きな変化がなくても、半年や1年に一度、申込の数や顧客の声と照らし合わせて確かめておくと安心です。狙う相手の求めることは、気づかないうちに少しずつ変わっていることもあるからです。見直すときは、ポジショニングだけでなく、狙う相手が今も合っているかもあわせて確かめましょう。